sinc 関数の定積分 $\int_{-\infty}^\infty(\sin\lambda/\lambda)\,d\lambda$ の求め方には様々な方法があるだろうけれど、Fouriere 変換をつかうと以下のように手品の如く求められる。
まず \begin{align*} f(x) = \begin{cases} 1 &\quad (-1 \leq x \leq 1) \\ 0 &\quad( otherwise) \end{cases} \end{align*} という矩形関数を用意し、これを Fourier 変換すると($\lambda$ は実数) \begin{align*} F(\lambda) &= \int_{-\infty}^\infty e^{-i\lambda x}f(x)\,dx = \int_{-1}^1 e^{-i\lambda x}\,dx = \left[\frac{1}{-i\lambda}e^{-i\lambda x}\right]_{x=-1}^{x=1} \\ &= -\frac{1}{i\lambda} \left(e^{-i\lambda} - e^{i\lambda}\right) = \frac{2}{\lambda}\cdot\frac{e^{i\lambda} - e^{-i\lambda}}{2i} = 2 \frac{\sin\lambda}{\lambda} \end{align*} となる。複素指数関数の部分が三角関数になっていることを見抜くところが味噌である。
そして今度は Fourier 逆変換をおこなえば \begin{align*} f(x) = \frac{1}{2\pi}\int_{-\infty}^\infty e^{ix\lambda}F(\lambda)\,d\lambda = \frac{1}{\pi}\int_{-\infty}^\infty e^{ix\lambda}\frac{\sin\lambda}{\lambda}\,d\lambda \end{align*} したがって、 \begin{align*} f(0) = \frac{1}{\pi}\int_{-\infty}^\infty\frac{\sin\lambda}{\lambda}\,d\lambda \end{align*} となる。そしてまた $f(0)= 1$ であるから \begin{align*} \int_{-\infty}^\infty\frac{\sin\lambda}{\lambda}\,d\lambda = \pi \end{align*} というふうに求まるのである。
とはいえ、この手品、少々議論がおおらかすぎる。積分範囲には $\lambda = 0$ も含まれているし、$\lambda$ は分母でもあるのだから、そこを無視するわけにはいかないだろう。きちんと広義積分に則るべきなんだろうけれど、いまのところ私が納得のいくいい説明ができない。広義積分と $\lim_{\lambda \to 0}\sin\lambda/\lambda = 1$ という関係からうまくいかないかと目論んではいるのだが。
ということで、本日は一旦ここまで。
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。